きみはハリネズミ
《ただ今より、第52回実泉高校文化祭を開催致します》
雲ひとつない晴天。
青さを通り越して宇宙の色を透かしたような空は、脈打つ太陽が眩い輝きを放っている。
かくして、運命の日はやってきた。
私はまだ開店前の、やんわりとした日差しが差し込む教室を見渡した。
黒い画用紙が一面に貼られた壁。
血飛沫、手形、血痕、御札………
各テーブルには、血糊がベッタリとついたクマのぬいぐるみが不気味に微笑んでいる。
机と椅子も暗幕が掛けられて完全にゴシックホラーの世界が出来上がっていた。
「…よかった、完成して」
どこからともなく漏れた声にみんなが無言で頷く。
実を言うと、完成したのは昨日の夜だった。
最後の1週間はそれはもう、本当に目が回るほど忙しくて、全ての作業が終わった頃にはみんな魂が抜けていた。
立て看板も教室からは見えないけれど、ちゃんと校舎脇に並んでいる。
衣装を怒涛の勢いで切り上げた尋が手伝ってくれて、なんとか一昨日の期限に間に合った。
疲労のピークに達した茅ヶ崎くんが志谷先生にタメ口をきいてはたかれていたのは私と尋の秘密だ。
雲ひとつない晴天。
青さを通り越して宇宙の色を透かしたような空は、脈打つ太陽が眩い輝きを放っている。
かくして、運命の日はやってきた。
私はまだ開店前の、やんわりとした日差しが差し込む教室を見渡した。
黒い画用紙が一面に貼られた壁。
血飛沫、手形、血痕、御札………
各テーブルには、血糊がベッタリとついたクマのぬいぐるみが不気味に微笑んでいる。
机と椅子も暗幕が掛けられて完全にゴシックホラーの世界が出来上がっていた。
「…よかった、完成して」
どこからともなく漏れた声にみんなが無言で頷く。
実を言うと、完成したのは昨日の夜だった。
最後の1週間はそれはもう、本当に目が回るほど忙しくて、全ての作業が終わった頃にはみんな魂が抜けていた。
立て看板も教室からは見えないけれど、ちゃんと校舎脇に並んでいる。
衣装を怒涛の勢いで切り上げた尋が手伝ってくれて、なんとか一昨日の期限に間に合った。
疲労のピークに達した茅ヶ崎くんが志谷先生にタメ口をきいてはたかれていたのは私と尋の秘密だ。