きみはハリネズミ
《ただし》
唸るような歓喜の声の中、校長先生の声が会場を震わせた。
《今年に限り、審査員全員一致で審査員特別賞を設けることにしました。…3年3組、君たちです。
予想外の困難と限りある時間の中、君たちの発想転換力と団結力は目を見張るものがありました。苦難を乗り越え、実泉高校文化祭を盛り上げてくれた君たちを讃えます》
会場が一瞬静かになって、
そして
弾けた。
「え……?」
呆然としたのは私たちだった。
「俺ら……賞とった……?」
「呼ばれたよね、今……」
確かめるように呟かれた声に──────
「っしゃぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!」
遅れてやってきた感情は叫び声にも似た歓声に溶けて、絡まって、深く私たちの胸を貫いた。
ぞくっとした感覚が腰から背筋を這い上がって、脈打つ心臓が耳元で鳴った。
今。
今、
今……!
「尋………っ!」
尋はゆっくりと私を見る。
その顔がくしゃりと歪んだ。
「うっ………わぁぁぁぁぁ…っ」
子供みたいに泣き声を上げる尋を抱き締めると、じわりと視界がぼやけた。
身体中が熱くて、痺れるみたいだった。
「俺は取ると思ってたよ」
茅ヶ崎くんが私たちを見て微笑む。
その目が赤くなっているのには気付かないふりをして、私は「知ってる」と笑った。
唸るような歓喜の声の中、校長先生の声が会場を震わせた。
《今年に限り、審査員全員一致で審査員特別賞を設けることにしました。…3年3組、君たちです。
予想外の困難と限りある時間の中、君たちの発想転換力と団結力は目を見張るものがありました。苦難を乗り越え、実泉高校文化祭を盛り上げてくれた君たちを讃えます》
会場が一瞬静かになって、
そして
弾けた。
「え……?」
呆然としたのは私たちだった。
「俺ら……賞とった……?」
「呼ばれたよね、今……」
確かめるように呟かれた声に──────
「っしゃぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!」
遅れてやってきた感情は叫び声にも似た歓声に溶けて、絡まって、深く私たちの胸を貫いた。
ぞくっとした感覚が腰から背筋を這い上がって、脈打つ心臓が耳元で鳴った。
今。
今、
今……!
「尋………っ!」
尋はゆっくりと私を見る。
その顔がくしゃりと歪んだ。
「うっ………わぁぁぁぁぁ…っ」
子供みたいに泣き声を上げる尋を抱き締めると、じわりと視界がぼやけた。
身体中が熱くて、痺れるみたいだった。
「俺は取ると思ってたよ」
茅ヶ崎くんが私たちを見て微笑む。
その目が赤くなっているのには気付かないふりをして、私は「知ってる」と笑った。