クリスマスの朝
確かに、部屋の中はとても寒い。日本の寒さとは比べものにならなかった。

雪音はコートを強く抱きしめ、体を震わせる。その時、温かいココアの入ったマグカップを二つ持ったミハイルが入って来た。

「雪音、立ってないで座って。あとココアだよ」

「……スパシーバ(ありがとう)」

雪音はソファに腰掛ける。ミハイルもその隣に座った。まだ部屋は寒く、雪音はかじかんだ手でココアの入ったマグカップを手にする。

「雪音」

ミハイルにそう名前を呼ばれた刹那、雪音は優しく抱きしめられる。

「ミハイル……!」

「こうすればあったいでしょ?」

ミハイルの心臓の音が響いてくる。雪音はミハイルの背中に腕を回し、温もりの心地よさに目を閉じる。

雪音は、冬が好きだ。特にこんな風に雪が降っていると胸が高まる。

こうして、好きな人と触れ合えるかもしれないからだ。抱きしめ合っていれば、寒さなど忘れて幸せになれる。

「あ、暖房ついたみたい」
< 5 / 9 >

この作品をシェア

pagetop