雨と霧と煙の異世界生活


麗子「そうだ、楓に聞きたいことあったんだ。」



雅をボーッと待っていると、突然と声を掛けてくる母。



普段雅は母なのにも限らず麗ちゃん等と呼んでいるが、僕はそういうのは出来ない性格のため巫山戯た時にしかそう言う風には呼べず、昔の通り「ママ」と言う呼び方で定着してしまっているのだ。



18歳にもなるくせに、なんて言われたらその通りだが一溜まりもない。



僕の8つほど年上の兄も、家から出るまではずっと母のことをママと呼んでいたし、妹も麗ちゃんだけでなくママと呼んだりもするから。



『なーに?』



いつも通り緩い返事で答えれば、それに慣れている母は特に気にする様子もなく話を進めた。



麗子「楓って確か少年漫画好きだよね?」



『んー、まあまあ?』



少年漫画が好きなのは、家族の中で兄と僕だけだった。



無言の了承のように兄の話は禁句となっている我が家では、“唯一”少年漫画が好きということになっているだろう。



妹は芸能人が好きなため、ほぼほぼ漫画なんて読まないし…読んだとしても少女漫画くらいのもの。



母は時々アニメを見るが、暇潰しのためなだけであって特に好きなわけではない。



そんな中で僕は、時折ハマりすぎては調べ尽くし、所謂オタクと呼ばれるものになるくらいには少年漫画系統が大好きなのだ。



とは言え、ハマってないものに関しては本気で気にならず、知識なども全くと言っても良いほどない。



そんな極端な性格をしている僕を、母や妹は昔から呆れた目で見ていた。



そんな目に慣れてしまったのは、一体今から何年前の話だっただろうか。



そんなことを考えながら、母の次の言葉を待った。



麗子「何か元々少年漫画だったのがアニメになったのに今私と雅はハマってるんだけど。」



この言葉で既に驚きだ、あの二人が少年漫画だったのがアニメになったのにハマっている?



まず妹は少年漫画に本当に興味がなかったはずだ。



母は特に何かにハマる性格ではない。



これは天変地異の前兆か?なんて失礼なことを考えてしまっている始末である。



麗子「それで…知ってるかな?って。」



『んー、とりあえず名前教えて?知らないのも結構多いし。』



そう言えば、母は待ってましたと言わんばかりに…その言葉を口に出した。



麗子「“鬼滅の刃”。」



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