無邪気な彼女の恋模様
お昼ご飯はたいていお弁当を持ってきて自席で食べている。
お弁当じゃない日は外に食べに行くのだが、その時はいつも波多野さんと一緒に食べている。
たまたまお弁当を忘れた日があって、外に食べに行くのが初めてな私に声をかけてくれたのが始まりだ。

本当は毎日波多野さんとランチをしたいけれど、やっぱりそれは彼女さんに悪い気がするし、お弁当を持ってくることで“私もちゃんと料理できるんだぞ”という密かなアピールでもある。
我ながら考えが浅はかだと思っているけど。

なので本当に遠慮して、お弁当作れなかった日だけ、波多野さんにランチに付き合ってもらっている。

今日は不本意ながらお弁当を作ってきたので、自席でデデーンとお弁当を広げて横にスマホを置いて一人もそもそと食べているところだ。

スマホを見ながら食事だなんて行儀が悪いけど、昼休み中は携帯電話の使用が許されているし、ちょっとハマってるゲームもあるしで悠々自適な休み時間を送っている。

そのスマホゲームがもう少しでクリアというタイミングで、ピコンとメッセージが入った。

もー、今いいところなのにー。
心の中で悪態を付きつつメッセージを開くと、猫の写真と共に、

【うちの猫です。よろしくね。】

と表示されて私は首を傾げた。
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