無邪気な彼女の恋模様
「ちょっと集まってもらえますか？」

木村さんがワークルームメンバーに声をかけ、私たちはわらわらと木村さんの前に集合した。

「一部知っている方もいると思いますが、百瀬さんの応援が今月末で終了になります。どの部署も人員厳しい状況なので、代わりの人は入りません。百瀬さんが抜けるのは大変心苦しいですが、今のメンバーで助け合ってやっていきましょう。」

木村さん、私の方が心苦しいです。
だって私が抜けるせいで皆さんに皺寄せがいくんだもの。
はー、申し訳ない。
って、別に私が決めたことじゃないんだけど。

木村さんの話が終わって製本業務に取りかかると、水戸さんがボソボソと嘆く。

「あー、気が重い。」

「なんか、すみません。」

思わず謝ってしまった。

私だってできれば続けたいと思っている。だって仕事の流れも覚えて最近は効率よくできるようになったなって実感したところだったし。
でもリノベーションチームの仕事とワークルームの仕事を天秤にかけたら、やっぱりリノベーションチームに戻りたいのは事実。
だからこの決定は私にとってはよかったことのはずなのに。

どうやら情がうつってしまったらしい。

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