無邪気な彼女の恋模様
***

翌日の出勤時、通勤電車内でスマホでゲームをしていると、またもやクリア手前のいいところでメッセージがピコンと入ってきた。
普段朝からメッセージのやりとりなんて滅多にしないので、誰だろうとすぐに開いてみる。

「え…。」

思わず小さい声が漏れてしまうほど、私は驚いた。
それは、おはようという可愛いイラストのスタンプで、差出人は水戸さんだった。

まあ、おはようにはおはようのスタンプよね。
そう思って私も可愛いイラストのスタンプを送り返す。
何か用事でもあるのかしらと思ったけれど、やりとりは挨拶だけで終了した。


そのやりとりは翌日以降も続いて、さすがに私も疑問に思ってくる。
確かに水戸さんとは仲良くなったけど、そんな挨拶だけを毎日送り合うなんて恋人じゃあるまいし。
波多野さんとすらそんなにメッセージのやりとりしないのに。

私の不満は蓄積されていくが、どう解決したらいいのかわからない。
波多野さんに相談する?
いや、あの日以来波多野さんはずっと不機嫌なのだ。
ケンカしたわけじゃないのにケンカしたみたいな雰囲気になっちゃってて、何だか悲しい。
謝るのも変な話だし、と思って触れずにいるけれど、本当は内心どうにかしたいと思っている。

ああ、波多野さんとの関係を戻したいのに、水戸さんのことなんて考えてられないよ。
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