無邪気な彼女の恋模様
木村さんが予約してくれたお店は、駅前のビルの二階にあるおしゃれなレストランバーだ。
少し照明が落としてある店内は大人の雰囲気が漂う。

今まで飲み会で行ったお店は店内がザワザワしていていわゆる庶民的なお店ばかりだったので、こういう場所は初めての私は緊張してしまう。

木村さんは慣れているのか、スマートに私をエスコートして外の景色が見えるカウンター席へ座った。

「お酒は？」

「何でも飲めます。」

お店がおしゃれすぎて「すみませーん、生中くださーい」等と言える雰囲気ではない。
木村さんは店員さんに何かを伝えると、しばらくして私の前にはピンク色のカクテルが運ばれてきた。

「百瀬さんの雰囲気に合わせてみたんだけどどうかな？」

「わあ、ありがとうございます。」

木村さんと乾杯をして、ひとくち口に含んだ。
甘くて飲みやすいので、気をつけないとイッキ飲みしてしまいそうだ。
木村さんが私を思って頼んでくれたカクテルだと思うと、余計に美味しく感じる。

料理も大きなお皿に小さく綺麗に盛られていて、上品さが滲み出ている。
テーブルマナーなんてほとんど知らないし大丈夫かなと心配になったけれど、ナイフとフォークと一緒にお箸も用意されていたので、私はこっそりと胸を撫で下ろした。

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