無邪気な彼女の恋模様
料理に舌鼓をうちながら、木村さんが言う。

「ワークルームの仕事お疲れ様。本当に百瀬さんがいてくれて助かったよ。」

「私も楽しく仕事させてもらいました。」

「水戸さんとも上手くやってくれてたから、百瀬さんいなくなると心配だな。」

木村さんも波多野さん同様に、水戸さんに対して含みを持たせた言い方をする。
ここは思いきって聞いてみるべきか。

「あの、水戸さんって何かあるんですか?」

「んー?何度か問題を起こしている問題児ってことだよ。」

「はあ。」

問題児って、結局何の問題を起こしたかは教えてくれないみたいで、失礼ながら私も曖昧な返事になってしまう。

「百瀬さんのおかげで落ち着いていたけど、今後が心配。何か問題起こさないといいけどね。」

そう言って、木村さんは苦笑いした。

あー、それならすでに問題有りです。
毎日おはようスタンプが送られてくるんですよ。結構迷惑してるので何とかしてください。

とはさすがに言えないよねぇ。

私も木村さんに合わせて苦笑いした。

「じゃあ私、ワークルームに残っていた方がよかったんじゃないですか?」

そうすればおはようスタンプも送られてこなかったハズだ。
私がワークルームを離れてから毎日のスタンプ攻撃が始まったのだから。

「そうなんだけど、三浦さんと波多野さんに早く百瀬さんを戻してくれって頼まれてね。僕も渋ってたんだけど、まあ色々あって僕は負けてしまったんだよ。」

「三浦さんと波多野さんが? 」

まさか波多野さんまで私のことを戻そうと動いてくれていたなんて知らず、その気持ちがたまらなく嬉しくなって自然とニコニコとしてしまったようだ。
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