無邪気な彼女の恋模様
「木村さんはあれ以来何もないです。今はですね、実はうっとおしいメッセージを送ってくる人がいて、毎日イライラしちゃってます。」

「なんだそりゃ。」

「だって、恋人でもないのに毎日おはようのメッセージ送ってくるってありえなくないですか?マジうっとおしいです。」

毎日のメッセージを思い出してまたフツフツと怒りがわいてくる。
水戸さんじゃなくて波多野さんが毎日メッセージを送ってくれたらどんなに嬉しいことか。

「は?何だそれ。無視しとけよ。」

「そうなんですけどー、何か対応が難しい。しかもランチも誘われるし。私、ランチ行くなら波多野さんとしか行かないのにー。」

私が口を尖らせてブーブー文句を言っていると、波多野さんは食べる手を止めてこちらを見る。
その目はとても真剣で、私まで箸が止まってしまう。

「お前、誰に付きまとわれてるんだよ?」

言うべきか言わぬべきか。
いや、ここは勢いで言っちゃえ。

「…水戸さんですよ。」

私はちょっとまわりを気にしながら声をひそめて言う。
さすがに会社の人に聞かれるのはマズイし。

「木村の次は水戸かよ。」

波多野さんは呆れたため息をついた。
拳で眉間を押さえている。
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