無邪気な彼女の恋模様

そんな様子を静かに見ていた柿田さんが、突然割って入る。

「でさぁ、君たちはいつ結婚するの?」

「私は予定ないですよー。波多野さんは?彼女さんと長いですよね?」

私が三浦さんみたいにウェディングドレスを着る日は来るのか、まったくもって未定だ。
彼氏もいないし好きなのは彼女持ちの波多野さんなんだから。

どさくさに紛れて波多野さんの予定も聞いてみた。
ここで波多野さんの結婚の予定を聞くのはリスクが高い。
予定があると宣言されれば、いよいよ私は大失恋決定になってしまう。
だけどそういうのは早いうちに知っておきたいとも思うのだ。
いくら一線を引いているとはいえ好きなものは好きなのだから、叶わない恋心を今年の膿として出し尽くして、新しい年を迎える方が良いに決まっている。

そんな思いをよそに、柿田さんは首を横に振る。

「違う違う。」

「ん?」

「二人付き合ってんでしょ?」

「え?付き合ってないですよ。波多野さん彼女いますし。」

私の答えに柿田さんは呆れたため息をついた。

「波多野くん、とっくに彼女と別れてるでしょ。」

「ええっ?」

「木村くんに寝取られたって泣いてたじゃん。」

ええええええーーーーーー!!!!

驚きすぎて私は両手で口元を押さえた。

波多野さん彼女いないの?
てか、木村さんに寝取られたって?

ええええええーーーーーー!!!!

心の中が大騒ぎで私は心臓がバクバクとやばいくらい高鳴った。

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