無邪気な彼女の恋模様
さすがに三人抜けた穴は大きく、集中して取り組んだけれど昼休みが半分潰れてしまった。
今から外に昼食を取りに行くのはさすがに時間がない。
とりあえず何か飲もうかと自販機のある休憩スペースへ行くと、そこでバッタリ木村さんに出会った。

「百瀬さん、急に手伝わせてしまってごめんね。」

「いえ、大丈夫です。」

あまり関わりたくないなぁと思いつつ自販機にお金を入れようとすると、先に木村さんがお金を入れる。

「奢るよ。いろいろお詫びも兼ねて。」

「…ありがとうございます。」

いろいろって何を指しているんだろうと考えつつも、とりあえず木村さんの好意に甘えた。

ジュースを取り出し去ろうとすると、「ねぇ」と呼び止められ、私は木村さんの方を向く。

「波多野と上手くいったんだ。よかったね。」

どうして木村さんがそのことを知っているんだろうという疑問が頭を過るが、ニッコリと微笑むイケメン木村さんからは全く敵意が感じ取れず、私は素直にお礼を言った。
そして思い出されるあの日の記憶。
木村さんと飲みに行った日のこと。

「ありがとうございます。あの…。」

「あのときは強引なことしてごめん。」

私の言葉を遮るように、木村さんは頭を下げた。
まさかそんな謝られるとは思ってもみず、私は焦ってしまう。
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