桜が散る頃君はいない

〜柊〜

病室を開けると、千花が泣いていた。

俺は、千花を一生懸命抱きしめた。

「泣くなよ…そんなに自分で抱えないでくれ…その分、お前の目の下が赤くなっていくから…。」

「やめて、柊は泣かないで…!」

「俺じゃ、相談相手になれないか?俺はただの彼氏ってだけなのかな?」


なんで、こうなるの…喧嘩したくない…こんな時に、初めての喧嘩がこんな時なんて嫌だよ…。

「ごめん…帰って。喧嘩したらまた、泣く。」

「…ごめん。」

そう言って帰っていく柊を止めることなんて、出来なかった。

あの時、私は柊の付き合ってくださいって言葉に承諾しなきゃこんなことにならなかったかな?

今よりもずっと楽に死ねたかな?
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