桜が散る頃君はいない
帰ってって千花に言われて、何も言い返せなかった。

あんな顔されたら、返したらもっとひどい顔になりそうで、怖かった。

…ちがう。

帰ることによってもっとあいつを傷つけたんだ。

俺は、捨てちゃいけないんだ。

あいつにとっては俺しかいないんだよ。

走って病院に戻った。

その先には、騒々しい病院内に少し驚いた。

そこには、担架で運ばれてる1人の女性がいた。

「…千花!!」

「すいません。ここからは。」

何があったんだ。

俺のいない間に、何が…。

ほらな?帰っちゃダメなんだよ…。

後にわかったこと。

俺が帰ったあと、千花は倒れてその衝動で花が引っかかってちぎれ、血管を損傷したらしい。

酸素マスクをつけた千花の隣で今日のことをずっと思い返した。

「ごめんな…1人って怖いよな…。」

「1人じゃないよ…?」

目の覚めた千花が俺の発言を撤回してくれる。

「初めて喧嘩したね。」
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