クールな婚約者との恋愛攻防戦
高原貿易グループは、うちの父が頭取を務める銀行の超大口取引先で、おまけにうちの父とあちらのお父様が昔馴染みらしく、このお見合いは私が聞かされるよりもずっと前から計画されていたのだという。


つまり、政略結婚。



自分の知らないところで勝手に進められている話の為、当事者は紛れもない自分なのにどこか他人事に思えてしまっている。




とは言え、別に政略結婚に対して怒っている訳でも、不満がある訳でもない。

既に姉が結婚して、そのお婿さんが篠宮(しのみや)家を継ぐ予定になっているとは言え、じゃあ私は自由気ままな結婚が出来る! とは思っていなかった。


世間体もあるだろうし、そもそも恋愛に興味があった訳でもないから、それなら両親が決めた人と素直に結婚しよう、と恐らく中学生の頃からそう決めていた。



まあさすがに、大学を卒業して一ヶ月も経たないうちにこうしてお見合いすることになるとは思っていなかったけれど。
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