クールな婚約者との恋愛攻防戦
「樹君って、車以外に好きなものある?」

赤信号で車が停車した時、ふと彼に尋ねてみる。


「ん? 好きなものか…….何だろ」

「じゃあ、たとえば動物は好き?」

「普通」

「甘い物は好き?」

「普通」

「普通じゃ分からないよ」


樹君のことが知りたいから、もう少し分かりやすく答えてほしくてそう言ったのだけれど……。



「……自分のことあんまり話そうと思わないし」


そんな風に言われてしまう。

あまりにはっきりと言われたから「そっか」と答えることしか出来なかった。


私は樹君のこともっとたくさん知りたいって思っていたけれど……その感情自体が、樹君にとっては迷惑で不要なものだったのかな。
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