クールな婚約者との恋愛攻防戦
隠し事
その夜は、結局全然寝付けなかった。


樹君が電話で話していた内容が気になり、ゆっくり寝るどころではなかった。



それでも、何とか朝はいつも通り起床し、いつも通り朝食の支度を済ませる。



「昨夜、寝てないのか?」

私の明らかな寝不足な顔を見てか、朝食を食べながら樹君にそう聞かれる。


「あー……うん」

「遊園地で結構歩いたのに、疲れなかったのか?」

そう言われても、あはは……と苦笑いすることしか出来ない。


昨夜のことを聞きたいけど、電話してるところに聞き耳立てていたとも知られたくない。


……いや、そこは知られてもいい。
だけど、真相を知りたくないのだ。



だって、旦那に秘密とか、婚約者に秘密とか……明らかに普通の内容じゃない。しかも、あんな深夜に電話だなんて。




悶々とそんなことを考えていると「そう言えば」と樹君が口を開く。



「何?」

「言うの忘れててごめん。今日、俺の分の夕食は用意しなくていい」

「そうなんだ? 何で?」
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