クールな婚約者との恋愛攻防戦
「愛梨のことも近いうちに紹介しないとと思っていたし、向こうは夫婦で来るんだから一緒に行っても問題ないだろ」

「えっと……うん」

「この別荘に来てから、毎日食事も作ってもらってたしな。たまには外食もいいだろ。どうだ?」


どうかと聞かれれば、それは勿論、嬉しい。


私にご馳走しようとしてくれているのもそうだけれど、私を婚約者としてちゃんと紹介しようとしてくれていることが嬉しい。


心配することなんて、何もないんだよね。



「よし。じゃあ仕事終わったら一旦帰ってくるから、その後、俺の車で一緒に行こう」

「うん。楽しみにしてるね」


そんな約束をした後、いつもの様に会社へ向かう樹君を、私もいつもの様に見送った。

さっきまで抱いていた不安は、少し小さくなっていた。
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