クールな婚約者との恋愛攻防戦
「樹、久し振り」
樹君の正面で、そう言って微笑む女性。
彼女に対して樹君も、
「久し振り、藍実」
と挨拶をした。
……その時の樹君の表情は、私には未だになかなか見せてくれない、分かりやすい笑顔だった。
藍実さんはすぐに私に向き直り、綺麗な所作で頭を下げてくれる。
「愛梨さんですよね? 初めまして。私、柏木 藍実と言います。樹君とは、高校時代からの友人なんです。今日はお会い出来て嬉しいです」
丁寧な挨拶を受けて、私も同じ様に頭を下げた。
「こちらこそ初めまして。篠宮 愛梨です。私の方こそ、今日は突然にも関わらずご一緒させていただき、ありがとうございます」
お見合いの時みたいに、もっと素の自分を曝け出しながらくだけた感じでいこうかとも思っていたけれど、今回は一応、猫を被ることにした。
基本的にどんな場でも素の自分を出すことが多いけれど、さすがにそれが通用しないような、たとえば父の知り合いのお偉い社長サマへ挨拶するような場面も過去に多々あった為、猫を被るという技は取得済みだ。
もし今後、藍実さんと仲良くなれたら、その時は素の自分を知ってもらおう。
「愛梨さんと私、何だか名前が似てますね」
樹君の正面で、そう言って微笑む女性。
彼女に対して樹君も、
「久し振り、藍実」
と挨拶をした。
……その時の樹君の表情は、私には未だになかなか見せてくれない、分かりやすい笑顔だった。
藍実さんはすぐに私に向き直り、綺麗な所作で頭を下げてくれる。
「愛梨さんですよね? 初めまして。私、柏木 藍実と言います。樹君とは、高校時代からの友人なんです。今日はお会い出来て嬉しいです」
丁寧な挨拶を受けて、私も同じ様に頭を下げた。
「こちらこそ初めまして。篠宮 愛梨です。私の方こそ、今日は突然にも関わらずご一緒させていただき、ありがとうございます」
お見合いの時みたいに、もっと素の自分を曝け出しながらくだけた感じでいこうかとも思っていたけれど、今回は一応、猫を被ることにした。
基本的にどんな場でも素の自分を出すことが多いけれど、さすがにそれが通用しないような、たとえば父の知り合いのお偉い社長サマへ挨拶するような場面も過去に多々あった為、猫を被るという技は取得済みだ。
もし今後、藍実さんと仲良くなれたら、その時は素の自分を知ってもらおう。
「愛梨さんと私、何だか名前が似てますね」