クールな婚約者との恋愛攻防戦
お見合いは、用意された海鮮料理をいただきながら、滞りなく進んでいく。
「いやー、しかし本当にお互いの子同士をこうしてお見合いさせる日が来るとは……」
「愛梨ちゃんの様な明るい子をお嫁さんにいただけるなんて、とても嬉しいよ」
「いやいや、こちらこそ。樹君は非常に優秀だって聞くよ。確か、医療機器の開発に携わってるんだったね。その若さで、社の一角を担っているそうじゃないか」
話の方は、父親同士でだいぶ進んでいる。私も小耳に挟みながら、樹さんという人がどんな人なのか、情報を手に入れていくけれど。
それと同時に、私の方からも樹さんに話し掛けてみる。
しかし。
「樹さん、お食事美味しいですね。特にこの蟹」
「そうですね」
「好きな食べ物とかあります? 私は……苺かな!」
「何でも食べます」
「好き嫌いないって良いことですよね!」
……うーん。いまいち話が弾まない。
こちらから話し掛けても、樹さんの表情は何も変わらないから、余計に話し辛い。
やっぱり、このお見合いは仕方なく顔を出した、ということなのだろう。
でも、そうは言っても結婚相手なのだから、彼ともう少ししっかり話はしてみたい。
こうなったら。
「ねえ、お父さん」
樹さんのお父様と盛り上がっている父に声を掛ける。
すると父だけではなく、その場にいる全員の視線が私に集中したのが分かった。
「何だい? 愛梨」
「あのね。〝あとは若いお二人に任せて〟っていうの、この後やるでしょ?
どうせやるなら、今やりたいな! 私、樹さんともっとお話ししてみたいの!」
「いやー、しかし本当にお互いの子同士をこうしてお見合いさせる日が来るとは……」
「愛梨ちゃんの様な明るい子をお嫁さんにいただけるなんて、とても嬉しいよ」
「いやいや、こちらこそ。樹君は非常に優秀だって聞くよ。確か、医療機器の開発に携わってるんだったね。その若さで、社の一角を担っているそうじゃないか」
話の方は、父親同士でだいぶ進んでいる。私も小耳に挟みながら、樹さんという人がどんな人なのか、情報を手に入れていくけれど。
それと同時に、私の方からも樹さんに話し掛けてみる。
しかし。
「樹さん、お食事美味しいですね。特にこの蟹」
「そうですね」
「好きな食べ物とかあります? 私は……苺かな!」
「何でも食べます」
「好き嫌いないって良いことですよね!」
……うーん。いまいち話が弾まない。
こちらから話し掛けても、樹さんの表情は何も変わらないから、余計に話し辛い。
やっぱり、このお見合いは仕方なく顔を出した、ということなのだろう。
でも、そうは言っても結婚相手なのだから、彼ともう少ししっかり話はしてみたい。
こうなったら。
「ねえ、お父さん」
樹さんのお父様と盛り上がっている父に声を掛ける。
すると父だけではなく、その場にいる全員の視線が私に集中したのが分かった。
「何だい? 愛梨」
「あのね。〝あとは若いお二人に任せて〟っていうの、この後やるでしょ?
どうせやるなら、今やりたいな! 私、樹さんともっとお話ししてみたいの!」