クールな婚約者との恋愛攻防戦
そして、一番言葉にしたくなかった確信に触れる。
「樹君、本当は藍実さんのことが好きなんじゃないの?」
「違う、それはーー」
「私と藍実さん、何か名前も似てるし、私と話してる時だって本当は藍実さんのこと考えてたんじゃないの?
私のことなんて、最初から何も見てなかったんじゃないの?」
優しい言葉も、観覧車のキスも、本当は全部私への気持ちなんかではなかったんだと思う。
「愛梨、話を聞け。俺はーー」
「何も聞きたくない! 同棲ももうやめる。ばいばい」
飛び出すように車を出て、そのまま門を抜けた。
樹君が追い掛けてくることはなく、実家のインターホンを鳴らすと家政婦さんが鍵を開けてくれて、私はしばらく実家に泊まることにした。
こんなことしたって、遅くても来月には正式に結婚しなければいけないのだから、抵抗なんて無意味なのだけれど。
ーー初めて会った日に、樹君の言っていた通りだったかもしれない。
どうせ結婚するなら楽しむ必要はないと言っていたけれど、それが正解だったのかもしれない。
仲良くならなければ、距離を縮めなければ、こんな思いをすることもきっとなかった。
そして……樹君のことが好きだという気持ちにも気付くこともなかったはず。
こんな形で知りたくなかった。
好きにならなければ良かったとすら思ってる。
「樹君、本当は藍実さんのことが好きなんじゃないの?」
「違う、それはーー」
「私と藍実さん、何か名前も似てるし、私と話してる時だって本当は藍実さんのこと考えてたんじゃないの?
私のことなんて、最初から何も見てなかったんじゃないの?」
優しい言葉も、観覧車のキスも、本当は全部私への気持ちなんかではなかったんだと思う。
「愛梨、話を聞け。俺はーー」
「何も聞きたくない! 同棲ももうやめる。ばいばい」
飛び出すように車を出て、そのまま門を抜けた。
樹君が追い掛けてくることはなく、実家のインターホンを鳴らすと家政婦さんが鍵を開けてくれて、私はしばらく実家に泊まることにした。
こんなことしたって、遅くても来月には正式に結婚しなければいけないのだから、抵抗なんて無意味なのだけれど。
ーー初めて会った日に、樹君の言っていた通りだったかもしれない。
どうせ結婚するなら楽しむ必要はないと言っていたけれど、それが正解だったのかもしれない。
仲良くならなければ、距離を縮めなければ、こんな思いをすることもきっとなかった。
そして……樹君のことが好きだという気持ちにも気付くこともなかったはず。
こんな形で知りたくなかった。
好きにならなければ良かったとすら思ってる。