クールな婚約者との恋愛攻防戦
指輪
逃げるように実家に帰ってきてから、一週間が経過した。
「愛梨。あなたね、いつまでこの家でそうやってるつもり?」
日中、リビングのソファでボーッとしている私に、母がやや苛立ち気味にそう言ってくる。
ソファで何をしていた訳でもなく、本当にボーッとしていた。
今だけでなく、この家に戻ってきてからのここ一週間、正直ずっとそんな感じだった。
実は父は、私と樹君の間にあった出来事をまだ知らない。
私は話そうとしたのだけれど、母から
『そんなこと聞いたらお父さんショックで倒れちゃうから、もう少し様子を見ながら、もう一度樹君と話し合いなさい』
と言われたのだ。
なので父には〝ちょっと風邪気味で、樹君に移すの申し訳ないから実家に帰ってきた〟と嘘の説明をしている。
そんな訳で、母からはもう一度樹君と話し合うように言われているけれどーー何を話し合えというのか。
藍実さんとの浮気について、樹君の口からはほとんど何も聞いていないけれど、藍実さんの発言や態度からして、それは間違いないのだ。
「愛梨。あなたね、いつまでこの家でそうやってるつもり?」
日中、リビングのソファでボーッとしている私に、母がやや苛立ち気味にそう言ってくる。
ソファで何をしていた訳でもなく、本当にボーッとしていた。
今だけでなく、この家に戻ってきてからのここ一週間、正直ずっとそんな感じだった。
実は父は、私と樹君の間にあった出来事をまだ知らない。
私は話そうとしたのだけれど、母から
『そんなこと聞いたらお父さんショックで倒れちゃうから、もう少し様子を見ながら、もう一度樹君と話し合いなさい』
と言われたのだ。
なので父には〝ちょっと風邪気味で、樹君に移すの申し訳ないから実家に帰ってきた〟と嘘の説明をしている。
そんな訳で、母からはもう一度樹君と話し合うように言われているけれどーー何を話し合えというのか。
藍実さんとの浮気について、樹君の口からはほとんど何も聞いていないけれど、藍実さんの発言や態度からして、それは間違いないのだ。