クールな婚約者との恋愛攻防戦
別荘に到着するも、中に入りたくない。

かと言って、このまま車の中で二人きりはもっと気まずい。

仕方なしに車から降り、彼と一緒に家の中へと入った。


ぼんやりと廊下を歩いていると突然、

「こっち」

と言われながら、リビングの方へと連れていかれる。
驚いた。
だって、急に手を掴んでくるから。
手を繋いだーーというのとは少し違う気はするけれど、手と手が直接触れ合ったのは初めてだったから、思わずドキッとしてしまった……。



「ねえ、何? リビングに何がーー」

問いながらリビングへ入ると、その光景に、私は思わず言葉を失い、目を見開いた。



テーブルとソファの上に、たくさんの花が散りばめられている。


更に、テーブルの中央には苺がたくさん乗った、ホールのショートケーキが置かれている。



「な、何これ? 凄い。可愛い」


怒っていたはずなのに、思わず褒めてしまう。

だって、散りばめられた花達は、私が好きな白やピンクの可愛らしい小柄の花ばかり。
ケーキだってとても華やか。それに何より、私の大好きな苺がとても美味しそうでーー



「……好きって言ってたから。苺」
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