クールな婚約者との恋愛攻防戦
そう言うと、全員がぽかんとした顔となり、その場に沈黙の空気が流れる。
変なこと言ってしまっただろうか? また母に怒られる?
けれどすぐに、高原家のお父様とお母様が盛大に笑い出す。
父もそれに釣られたように笑うけれど、母だけは「すみません、すみません」と頭を下げていた。
「では、愛梨さんがせっかくそう言ってくれているので、残りの料理は後で持ってきてもらうことにして、あとは若い二人で……ってね。樹、愛梨さんを庭園までエスコートしてさしあげなさい」
お父様にそう言われた樹さんは、「はい」と相変わらず無表情で答え、そして綺麗な所作でスッと立ち上げる。
さっきまでは座っていたから分からなかったけれど、身長が高く、手足がすらりと長くて、スタイルが良い。
「では愛梨さん。行きましょうか」
「あっ、はい」
樹さんのそれは、やっぱり台本の台詞を棒読みするかのような言い方だったけれど、私達は部屋をいったん退室し、玄関で女将さんに見送られながら庭園へと向かった。
変なこと言ってしまっただろうか? また母に怒られる?
けれどすぐに、高原家のお父様とお母様が盛大に笑い出す。
父もそれに釣られたように笑うけれど、母だけは「すみません、すみません」と頭を下げていた。
「では、愛梨さんがせっかくそう言ってくれているので、残りの料理は後で持ってきてもらうことにして、あとは若い二人で……ってね。樹、愛梨さんを庭園までエスコートしてさしあげなさい」
お父様にそう言われた樹さんは、「はい」と相変わらず無表情で答え、そして綺麗な所作でスッと立ち上げる。
さっきまでは座っていたから分からなかったけれど、身長が高く、手足がすらりと長くて、スタイルが良い。
「では愛梨さん。行きましょうか」
「あっ、はい」
樹さんのそれは、やっぱり台本の台詞を棒読みするかのような言い方だったけれど、私達は部屋をいったん退室し、玄関で女将さんに見送られながら庭園へと向かった。