クールな婚約者との恋愛攻防戦
「仕方ないだろ。平日は都合が悪いから、土曜日に連絡が欲しいって言われてたんだ」

「遊園地に行ってた日でしょ? 仕事の電話してくるって誤魔化してたら、私、多分気付かなかったよ?」

「……何でそんなことしなきゃいけないんだよ」

「え?」

「……せっかくお前とデート……していたのに」

「えっ!」


樹君も、ちゃんとデートだって思ってくれていたの?

しかも、私との時間を大切にする為に電話は後回しにしてくれたってこと……?


それって……もしかして樹君も私のことを……?



「……あれ? じゃあ、藍美さんはサプライズをするほど旦那様のことが好きだったってこと?」

「そうだな。政略結婚だけど、一緒に過ごしていくうちに、凄く大切なパートナーと思うようになったって言っていたぞ」

「でも、レストランで樹君と旦那様が席を外した時、旦那様のことを、真面目すぎてつまらないとか、樹君の方がいいとか言ってて……」

「謙遜しただけだろ」

「謙遜……」


言われてみれば……そうだったのかな?

樹君が深夜にこっそり電話していた件を気にしすぎて、謙遜を素直に受け入れられなかったのかもしれない。


「だけど、その後は何だか挑発してきたよ? 政略結婚で結婚した相手との生活なんてつまらないとか、愛のない生活なんて虚しいとか」
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