私たちにできるだけ長いラストノートを
彼が手首で私の首筋に触れることが、
彼と同じ匂いを纏うことが、
私たちの愛情表現だった。
それがただの<作業>になってしまったのは、いつからだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おはよう」
平日の朝。
彼は起きるとすぐに決まった香水を手首につける。
「はい」
そう言って彼はソファーに腰掛けてテレビをつけて、私に手招きする。
私はのそのそと動き出し、彼が横に突き出した両手首の間に首を挟むと雑にポンポンと触られた。
そして、すぐに彼は腕を引っ込めて、パンを齧った。
私が髪をかきあげると、彼と同じ匂いが鼻をくすぐってすぐに慣れた。
これが、私たちの日課だった。
彼と同じ匂いを纏うことが、
私たちの愛情表現だった。
それがただの<作業>になってしまったのは、いつからだろう。
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「おはよう」
平日の朝。
彼は起きるとすぐに決まった香水を手首につける。
「はい」
そう言って彼はソファーに腰掛けてテレビをつけて、私に手招きする。
私はのそのそと動き出し、彼が横に突き出した両手首の間に首を挟むと雑にポンポンと触られた。
そして、すぐに彼は腕を引っ込めて、パンを齧った。
私が髪をかきあげると、彼と同じ匂いが鼻をくすぐってすぐに慣れた。
これが、私たちの日課だった。
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