俺様副社長は愛しの秘書を独占したい

　それに副社長は、きっとなにかと妬まれる立場にある。表情を見ただけでその人が考えていることがわかってしまうのは、そういった彼の生い立ちと過ごしてきた日々の結果なのかも。
　
そう思うと、なんとも言えない気持ちになる。きっと彼はこれまで私が想像さえできない苦労や、つらい思いをしてきたと思うから。

「だからこうして瑠璃ちゃんに出会えたことに、すごく感謝している。これからも俺は瑠璃ちゃん以外を秘書にするつもりはないから。……できれば仕事だけではなく、プライベートでもパートナーになってくれたらいうことないんだけどね」

　おどけて笑うものだから、私もつられて笑ってしまった。すると副社長は目を丸くさせた。

「な、なんでしょうか？」

「いや……この前も思ったけど、瑠璃ちゃんの笑顔は破壊力がすごいなって思って」

「えっ？」

　恥ずかしそうに口元を手で覆いながら彼は続けた。

「最近の瑠璃ちゃん、感情豊かになったよね。……だから少し心配。あまり他の男の前で笑ったりしないで？　瑠璃ちゃんはかわいいんだ。笑顔を見ちゃったら、みんな好きになっちゃうから」

「……っ！　そんな心配、ご無用です！」