俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 ほどなくしてマンションに着き、高瀬さんとふたりで彼を支えながらエントランスを抜けていく。
 どうやら二十四時間常駐のコンシェルジュがいるようで、スペアキーを貸してもらい、エレベーターに乗り込んだ。

 起き上がったら一気につらくなったようで、副社長は口を閉ざし俯いたまま。
 最上階に着き、スペアキーを使って家に入るとシンとしていた。二十三時を過ぎているし、圭太君はもう寝ているようだ。

 小声で「失礼します」と断りを入れ、寝室へ向かう。高瀬さんは何度か家に上がったことがあるようで寝室の場所を知っていた。

「すみません、木名瀬さん。あとはお願いしてもいいですか? 車をロータリーに停めてきてしまったので、移動してきます。そのままマンション内にコンビニがあったので、必要なものを買ってフロントに薬があるか聞いてきます」

「わかりました、よろしくお願いします」

 高瀬さんを見送り寝室に戻ると、熱が上がってきたのか、副社長は苦しそうにしていた。

「副社長、大丈夫ですか?」

「んっ……」

 返事をするものの、息苦しそう。

 あ、ネクタイ……!

 すぐに緩めると少し楽になった様子。
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