俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 予定時刻通りに成田空港に到着し、客室乗務員に見送られ機内を後にする。

「瑠璃ちゃん、ありがとう。瑠璃ちゃんのおかげで僕、飛行機に乗っている間全然寂しくなかったよ」

「ううん、こちらこそありがとう」

 今の時刻は八時半。これからさっそく本社に顔を出して、そこで副社長と対面する予定となっている。そして明日から日本本社での勤務が始まる。

 圭太君と楽しい時間を過ごせたおかげで、新たな気持ちで一からまたがんばろうって思えたよ。

 並んで到着ロビーに向かっていると、遠くから彼を呼ぶ声が聞こえてきた。

「圭太!」

 ふたりで声がしたほうへ目を向けると、スーツ姿の男性が手を挙げた。

「お兄ちゃん!」

 男性の姿を確認すると、うれしそうに一目散に駆け寄っていく圭太君。

 お兄さんが迎えにきてくれたんだ。そういえば機内で言っていたよね。『久しぶりにお兄ちゃんと一緒に暮らせるのが楽しみなんだ』って。

 てっきり歳が近いお兄ちゃんを想像していたからびっくり。スーツを着用しているし、歳は私と同じくらいか少し上だよね? 私と弟と同じように年の離れた兄弟みたいだ。

 圭太君の後を追って近づいていく。

 その間、男性は圭太君を抱き上げて久しぶりの再会を喜んでいる。
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