俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「ねぇ、瑠璃ちゃん。本当にお兄ちゃんと付き合っていないの?」

 圭太君はまだ、誰かを好きになる気持ちを知らないのかもしれない。でも私のことを好きだと言ってくれた。だからこそ素直な気持ちを伝えたい。
 膝を折り、彼と目線を合わせた。

「うん、付き合っていないよ。……でも私は副社長のことが好きなの」

 正直な想いを伝えると、圭太君は目を大きく見開いた。

「じゃあやっぱり付き合っているんでしょ? だってお兄ちゃんも瑠璃ちゃんのこと大好きだもん」

「ううん、本当に付き合っていないよ。好きって伝えていないし、この先も伝えるつもりはないから」

「どうして? だって両想いでしょ?」

 首を傾げる圭太君に、どうやって今の気持ちを伝えればいいだろうか。でも誤魔化したくない。

「えっと、じゃあケーキを食べながらゆっくり話そうか」

「うん」

 残りの片づけを済ませ、リビングのソファに並んで座った。そして牛乳を一気に飲み干すと、圭太君はさっそく本題に入る。

「それで瑠璃ちゃん、どうしてお兄ちゃんに好きって言わないの? お兄ちゃん、絶対喜ぶよ? ……あ、もしかして僕も瑠璃ちゃんのことを好きだから? 僕のせい?」

 ハッとし、オロオロする圭太君にすぐに言った。
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