俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「違うよ、圭太君のせいなんかじゃない。えっと……私の気持ちの問題なの」

「瑠璃ちゃんの? やっぱり僕が悲しむと思って言えないの? だったら大丈夫だよ! もちろん悲しいけど、でもね僕、瑠璃ちゃんと同じくらいお兄ちゃんのことも大好きなんだ! だから大好きなふたりが今よりもっと仲良くなってくれたら、僕もうれしいから」

 必死に伝えてくれる圭太君に、胸がジンとなる。それと同時に、よりいっそう嘘偽りなく今の気持ちを伝えたくなった。

「ありがとう、圭太君。……私ね、自分に自信がないんだと思う。副社長、今は好きって言ってくれるけど、この先もそうとは限らないでしょ? この先も一緒にいて私のことを知ったら、嫌いになるかもしれない。……それに副社長は、えっと、圭太君のお父さんの会社を継ぐ人。私とは不釣り合いだし、いずれお似合いな人と結婚することになると思うから」

 圭太君にもわかるように言葉を選びながら伝えると、彼は首を捻った。

「どうしてお兄ちゃんが瑠璃ちゃんのことを知ったら、嫌いになるの? 普通は好きになるんじゃないかな? 僕だったら、どんな瑠璃ちゃんを知っても嫌いになんてならないよ!?」

 力強い声で言う圭太君に、温かい気持ちでいっぱいになる。
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