俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 本当にお見合いをするのだろうか。彼の奥さんだと紹介される日がきちゃうの? そんな日がきても私は、今まで通りでいられるのだろうか。

「瑠璃ちゃん? なにかあったの?」

 怪訝そうに聞かれ、手にしていた封筒を思い出した。

 なに弱気になっているのよ、気持ちを伝えないってあれほど決心したのに。気持ちを切り替えて、社長から預かった封筒を差し出した。

「先ほど社長がいらっしゃいまして、これを副社長にと」

「社長が?」

 私から受け取ると、さっそく中を確認した。

「あぁ、これね」

 そう言いながら笑う副社長にまた胸が苦しくなる。

 やっぱりお見合いするんだ。結婚する気なのだろうか。……するよね、だって社長の知り合いの娘さんでしょ? 受ける時点で結婚する意志は持っているはず。会うだけ会ってみて……なんて話にはなっていないだろうし。

 頭では理解しているのに、心が追いつかない。
 なにも言えずにいると、副社長は恐る恐る聞いてきた。

「もしかして封筒の中、見た? それとも社長からなにか聞いた?」

「それはっ……!」

 私の様子を窺う彼に言葉が続かない。
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