俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 もしかして私を気遣っている? 私のことを好き、好きにさせてみせるって言っていたのに、お見合いをするから。

 そうだよ、どうしてお見合いをするの? 告白してくれたじゃない。絶対好きにさせるって言っていたのに。
 感情は昂ぶり、冷静でいられなくなる。

「お見合いなんてしないでください」

「――え」

 思わず漏れた本音に、副社長は目を丸くさせた。でも彼以上に私自身が驚いている。

 なにを言っているの? 私。お見合いしないでくださいだなんて……っ! こんなの、告白しているのと同じじゃない。

 自分の言ったことを理解できると、たまらなく恥ずかしくなる。

「瑠璃ちゃん……?」

 困惑する副社長を見て、なぜか涙が零れ落ち、たまらず部屋を飛び出した。

「瑠璃ちゃん!」

 だけどすぐに後を追ってきた副社長に腕を掴まれてしまう。

「離してください!」

 とにかく逃げたい。副社長から離れたい。
 その一心で腕を振り払おうとしても、さらに強い力で掴まれ、それは叶わない。
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