俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「好きです」

「――え」

 目を見開く彼にもう一度伝えた。

「好きです、副社長のことが」

「瑠璃ちゃん……」

 想いを伝えると、背中に腕が回り再び引き寄せられた。そしてゆっくり顔が近づいてきたものだから、必死に彼の胸元を押した。

「で、ですが……! 私は想いを伝えるつもりはありませんでした」

 付け足して言うと副社長の動きは止まり、目を瞬かせた。

「え……どうして? だって俺はずっと瑠璃ちゃんのことが好きだって言っていたよね? じゃあ両想いでしょ? だからキスしてもいい?」

 キスって……!

「ダメです!」

 すぐに拒否すると、副社長はムッとした。

「なぜ? お互い好きなら問題ないだろ?」

「問題大ありです! ……だって副社長はお見合いするんですよね?」

 さっき写真を受け取ったってことは、そういうことでしょ? それなのに私とキスをだなんて――。

「それとも結婚と恋愛は別だとでも言うんですか?」

 チクリと嫌味を言ったものの、彼は目をパチクリさせたあと、力いっぱい私を抱きしめた。
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