俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「瑠璃ちゃんはさ、どうして父さんから俺の秘書を任されたか知ってるの?」

「え……それは東雲社長から頼まれたからでして……」

 自惚れたらいけない!と言い聞かせてきたけれど、自分の仕事を認めてくれているからこそ頼まれたと信じたい。

 あれ? 本当は違った? 仕事ができないから日本に戻されたとか?
 不安になっていると、再び副社長はため息をつく。

「瑠璃ちゃんの仕事ぶりを買ってだよ。……それと、俺の結婚相手として」

「結婚相手って……」

 嘘でしょ、そんな意図があって私を副社長の秘書にしたの?
 信じられなくて瞬きさえできずにいると、副社長は「本当だよ」と言う。

「父さんは一緒に仕事をして、瑠璃ちゃんの仕事ぶりにはもちろん、人間性にも惚れちゃったんだってさ。本当の娘にしたくて、俺の結婚相手にどうだって薦めてきたんだ。『きっとお前も一緒に仕事をしたら、惚れるはずだから』って言われたよ。……まんまと父さんの思うつぼになっちゃったわけだけど」

 苦笑いすると、優しく抱きしめられた。
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