俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 副社長がどれだけがんばってきたか、私が一番知っているつもりだ。誰よりも社員を大切にして、改革案にも一生懸命取り組まれていた。それなのに、辞任だなんて……。どうしよう、私のせいだ。
 自分がここで出ていっても、どうにもならないとわかっている。だけどこうして見ているだけなんてできないよ。

「細川さんはここにいて」

「え……あっ、ちょっと木名瀬さん!?」

 細川さんの制止を振り切り、ドアを開けて会議室に乗り込んだ。誰もが突然入ってきた私に驚いている。……副社長も。
 彼の隣に立ち、目を丸くさせている社長を真っ直ぐに見つめた。

「あの写真は誤解です。副社長はなにも悪くありません」

 はっきりと言うと、会議室内はざわざわと騒がしくなる。

「誤解って……どう見てもキミ、泣いているじゃないか」

「そうだぞ? どうして庇うんだ?」

 戸惑いながら聞かれた質問に、再び力強く答える。

「庇うもなにも、事実だからそう申したまでです。……悪いのは私なんです。なので処分は私に」

 すると副社長が慌てて詰め寄ってきた。
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