俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 挙動不審になりながらも否定する社長。すると東雲社長の秘書が会議室内に入ってきて、そっと封筒を渡した。

「悪いがもう言い逃れはできんぞ。ここに証拠は揃っている。キミが持ちかけた見合い相手の父親とグルになって、息子にその罪をなすりつけようとしていたこともな。あちらさんはあっさり白状してくれたぞ」

 ひどい、そんな計画を立てていたなんて……!

「経営困難にさせたのはあなただ。それを社員を切り捨てることで補おうとするなんて許せない。……だが、社員たちに不安を与えたくない。あなたには自主的に辞任していただくことを望みます」

 副社長の一言にもう逃げられないと思ったのか、社長はその場に力なく崩れ落ちた。
 そして声を押し殺して泣く姿に、私はなんとも言えぬ気持ちになってしまった。



 数週間後――。

「え、じゃあなに? 副社長は、木名瀬さんが襲われてからすぐに調べて源君は社長の甥だと気づき、接触して協力させていたってこと?」

「……うん、そうみたい」

 休憩時間に細川さんとやってきたのは、いつものオープンカフェ。
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