俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「アハハッ! 副社長って本当にすごい人ね」

「……本当に」

 大笑いしている細川さんは、今は誰の秘書にもつかず、ピンチヒッターで入るフリー状態。

 残業することもなく、その間にスキルを磨くと言って、中国語やロシア語教室に通っている。私より上を目指すと宣言され、こっちも負けていられないという気持ちにさせられた。

「でもびっくりした、まさかすでにもう木名瀬さんと副社長が付き合っているなんて。どうして言ってくれなかったのよ? しかも婚約までしているなんて」

「えっと……それはいろいろあって」

 そもそも付き合い始めたのもつい最近だ。婚約に結婚話まで出て、私のほうがびっくりしたんだから。

 あのあと、一緒に帰国されていた奥様にもお会いさせてもらった。そこで改めて副社長は私と結婚したい意思を伝えてくれた。

 圭太君にも『おめでとう』と言われ、おふたりからも『俊輔のことを、よろしくお願いいたします』と言ってもらえた。

まだ副社長と両想いになれただけで幸せでいっぱいだったけれど、東雲社長たちから言われて、いずれ近い将来、彼と結婚したいと思うようになった。その思いは今、大きくなっている。

「結婚式には呼んでよね? もしかしたらそこに私の運命の相手がいるかもしれないから」

「……うん、絶対に呼ぶ」

 だって細川さんは同期であり、かけがえのない友人だから。
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