俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「子供がいるから、小さいからって理由でせっかくの旅行を堪能できないのはつらいよな。……今後もうちは、なにかを理由にせっかくの旅行の中で諦めることがないよう、すべての要望を叶えて差し上げられるようなサービス作りを徹底していきたい」

「……はい」

 そうなったらどんなに素敵なことだろうか。

「さて、とこれから忙しくなるな」

「そうですね」

 レストランをあとにする彼の半歩うしろを歩きながら、これからのことを考えると、たしかに頭が痛くなる忙しさだ。

 来月、副社長は東雲社長が兼任してきた、日本本社の社長に就任する。『まずは日本のホテル業界で一番になれ』と言われたらしい。
 今日はきっと、その一歩を踏み出せたはず。

 私は社長に就任されてからも、引き続き彼の秘書に就く予定だ。ますます秘書として精進しないと。

 廊下を突き進みエレベーターホールに着いたところで、彼に尋ねた。

「副社長、本日のご予定は終了いたしましたが、どうなされますか? もう少し視察されていかれますか?」

 すると副社長は笑顔で首を捻った。
< 148 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop