俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 だけどドアを開け閉めする音が聞こえてくると、さすがの俊輔さんも慌て出した。

「圭太が起きてきた!」

「もう、だから言ったじゃないですか!」

 ふたりしてベッドから飛び起きて、圭太君が部屋を訪ねてくるまでに、急いで着替えを済ませたことは言うまでもない。



「瑠璃ちゃんが作ってくれたパンケーキ、すごくおいしい」

「本当? よかった」

 次々と口に運ぶ圭太君を見て、ホッとする。

「圭太、口についてるぞ」

 そんな圭太君を甲斐甲斐しく世話する俊輔さんは、やっぱり兄というより、父親に見える。

 こうして三人で朝食を食べる機会も増えてきた。その度に思っちゃっている。家族みたいだなって。
 照れくさくなり、私もパクパクと口に運んでいると、珈琲を飲みながら俊輔さんが聞いてきた。

「瑠璃、今日の予定は? 夜まで一緒にいられる?」

「はい、大丈夫ですけど……」

 私の答えを聞き、なぜかふたりは笑いながら顔を見合わせた。

「え、なんですか?」

 不思議に思い尋ねると、声を揃えて言う。

「なんでもないよな、圭太」

「うん!」

 そして俊輔さんから「三人で出かけよう」と提案された。
< 152 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop