俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 それから圭太君の学校や友達の話を聞きながら、和やかな時間が過ぎていく。最後にワゴンに乗せたデザートが運ばれてきた時、なぜか照明が落とされた。

 え、どうしたの? もしかして停電?

 困惑する中、灯されたのはケーキの上のろうそく。柔らかな明かりが灯るとスタッフは部屋から出ていき、俊輔さんは立ち上がった。

「瑠璃、どうぞ」

 彼はワゴンに乗せてあるろうそくのついたケーキ皿を取り、そっと私の目の前に置いた。

「ありがとうございます」

 ワンホールのケーキに目を向けると、ろうそくの他にチョコレートペンで文字が書かれていた。【結婚してください】と――。

「えっ……」

 嘘、まさかこれって……。

 ケーキから俊輔さんに目を向けると、私の前に移動し、ひざまずいた。

「木名瀬瑠璃さん、生涯幸せにすることを誓います。……俺と結婚してくれませんか?」

「俊輔さん……」

 まさかのプロポーズに胸がいっぱいになる。

「瑠璃にプロポーズするなら、絶対に圭太の前でと決めていたんだ。……圭太に瑠璃を譲ってもらったからな」

 圭太君を見ると、私たちに向かってピースサインをした。
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