俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 一年後に執り行われた私たちの挙式、披露宴。

 大切な家族はもちろん、多くの会社関係者、そして友人である細井さんに見守られ、私たちは永遠の愛を誓った。
幸せの余韻に浸ったまま向かった新婚旅行先では、俊輔さんと心ゆくまでふたりの時間を過ごした。そして――。


「俊輔さん、そろそろ家を出ないと会議に間に合わなくなります」

「わかってる」

 ジャケットとバッグを持ち、ネクタイをしめながら私と圭太君が待つ玄関にやってきた。

「よし、みんな忘れ物はないな?」

「うん、大丈夫。それじゃ行ってきます!」

 元気よく返事をした圭太君を見送り、私たちも家を出ようとしたんだけれど……。

「ごめん、瑠璃。忘れ物」

「えっ?」

 ドアノブに手をかけたまま振り返ると、落とされたキス。

「ん、これで今日の会議がんばれる」

「……もう、俊輔さん?」

 朝から不意打ちのキスはずるい。

 文句を言っているのに、彼は幸せそうに笑うばかり。

 私は今も俊輔さんの秘書として仕事に奮闘している。それは彼の協力があってこそだと思う。
 それとなにかと家の手伝いをしてくれる圭太君のおかげ。

 ふたりに感謝しながらも、私は好きな仕事に打ち込み、幸せな日々を過ごしている。
 きっとこれから先もずっとこんな日々を過ごしていけるはず。

「じゃあいこうか」

「はい」

運転手の高瀬さんが待つ駐車場まで手を繋いで向かいながら、いつまでのこの幸せな日々を、彼の隣で過ごせますように。そう強く願った。
                              END
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