俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 あ、あれ……? 副社長はどこ? さっき声がしたからいるはずだよね?

「副社長?」

 課長と共に室内をキョロキョロしていると、急に背後から肩を叩かれた。

「はじめまして」

「きゃっ!?」

 びっくりして悲鳴にも似た声を上げてしまう。

 課長の言う通り、本当に破天荒なお方のようだ。まさかドアの影に隠れて驚かせてくるとは。

 すぐに振り返ると、そこにいたのはなぜか今朝会ったばかりの彼――。

「えっ……」

「どうして瑠璃ちゃんがここに……?」

 お互い茫然としてしまう。

 ちょっと待って。どうして彼がここに? だってここにいるのは、東雲社長の息子さんのはず。……じゃあ彼がそうなの? 嘘でしょ!?

「おふたりは初対面だと聞いておりましたが……お会いしたことがあったんですか?」

課長に答える余裕などないほどに、私は混乱していた。
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