俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 さすがに疑問に思い尋ねると、彼は「サプライズだよ」と、はぐらかす。
 仕方なく窓から見える景色を眺めていると、あるマンションの前で車が停まった。

「ちょっと待っててくれ」

「え、あの副社長!?」

 私を残して降りてしまい、高瀬さんとふたりっきりになり気まずい。だけどすぐにドアが開いた。

「瑠璃ちゃん、久しぶり!」

「え、圭太君?」

 勢いよく車内に乗り込んでくると、ギューッと私にしがみついた。

「待たせたな」

 すぐに副社長も乗り込むと、高瀬さんに「出してくれ」と伝える。

「ほら、圭太。シートベルトしめないとだめだろ?」

 呆れながらも、圭太君にシートベルトをしめてあげちゃう姿は、兄ではなくまるで父親のよう。

「だって瑠璃ちゃんに会えたのがうれしかったんだもん。お兄ちゃんから、瑠璃ちゃんと一緒に仕事をしてるって聞いてびっくりしたよ。ダディのことも知ってるんでしょ? あ、僕ね新しい学校で友達いっぱいできたんだよ? 勉強もがんばってるよ!」

 息つぐ間もなく必死に話してくれる圭太君がかわいい。

「圭太、これから一緒に食事するんだから、その時ゆっくり話せばいいだろ? 一気に話されても、瑠璃ちゃんも困るぞ?」

 副社長に言われ、圭太君はおもしろいほどハッとなる。
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