俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 玄関を抜けるとラグジュアリーなロビーが広がっていた。その場にいた数名の利用客は、ビジネスマンや着飾った女性たちばかり。
 それもそのはず。ここは世界的にも有名な高級ホテルだから。家族連れなどはまず利用されない。

 うちのホテルはその逆。リゾートホテルであり、ファミリー層をターゲットにしているから。
 だから敢えてここに視察に来たのだろうか。もしかして副社長、顧客層を変えたホテルを作るつもりなの?

 でもそれではうちのホテルとは、まったく別のものになってしまう気がするんだけど……。

 上質なソファに座って、圭太君と副社長を待っていると、近くにいる若いカップルの会話が耳に届いた。

「素敵なレストランだったね、料理も最高においしかった」

「あぁ、子供が生まれる前に来られてよかったよ。子供がいたら、絶対行けないもんな」

「こういうところは、しばらくお預けだね」

 チラッと女性を見ると、お腹に膨らみが見える。妊婦さんのようだ。

 そうだよね、子供が生まれたらしばらくはこういうところで食事はできそうにない。
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