俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 圭太君くらいになったら大丈夫そうだけれど、未就学児お断りしているところも少なくない。

 少しすると電話を終えた副社長が来て、三人で最上階にあるレストランへ向かった。
 夜景が見渡せる窓側の席に通され、店の中央にあるグランドピアノが奏でるクラシックが流れている。

 レストランもやはり高級感漂う造りとなっており、サービスも料理も一流。
 仕事で何度もこういうレストランに訪れたことがあるけれど、来るたび緊張するのは変わらない。

「ふぅ、ごちそうさまでした」

 それは隣に座る圭太君も同じで、あれほど車の中でいっぱい話を聞いてねと言っていたのに、口数が少ない。
 マナーを守り、料理を食べることに集中していたようで、食べ終えてホッとした様子。

「おいしいけど、やっぱり緊張しちゃうね」

 コソッと言ってきた圭太君に「私も」と漏らした。

 でもさすが圭太君だ。テーブルマナーがしっかりしている。下手したら私よりきちんとしているかも。東雲社長や奥様に厳しく教わったのかな。

 圭太君の年頃で、ここまでテーブルマナーができる子は少ない。そうなると本当に家族連れには、敷居が高い場所だよね。だからこそ特別感があり、いいのかもしれないけれど……。
 副社長は今日、なにを目的に視察に訪れたのだろうか。
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