俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「せっかく食事にきたのに、瑠璃ちゃんはどんな考え事をしているのかな?」

「えっ? あっ……」

 いつの間にか食後の珈琲とデザートが運ばれていて、目の前に座る副社長は首を傾げた。

「すみません」

「いや、ただ瑠璃ちゃんがなにを考えていたのか、気になっただけだよ。……教えてよ。圭太はケーキに夢中だし」

 言われて隣を見れば、圭太君はおいしそうにケーキを食べていた。

「真面目な瑠璃ちゃんのことだ、仕事のことでも考えていたんだろ?」

 珈琲を啜りながら言い当てられ、目を見開いた。

「聞かせてよ」

 再三言われ、先ほどのロビーでのことも含めて伝えた。

「なるほどね、たしかにこういうところは、家族連れでは来られないよな。圭太は例外だし」

「はい。……だからその、こちらで収穫はあるのかと疑問に思いまして」

 小声で言うと、副社長は手にしていたカップをテーブルに置き、クスリと笑った。

「もちろんあるよ。瑠璃ちゃんと念願のプライベートの時間を過ごせているんだから」

「副社長?」

 はぐらかす彼に鋭い目を向けると、また可笑しそうに笑う。
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