俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「本当のことだろ? 俺が何回誘ったと思ってる? こんなに必死になったのは何年ぶりか」

「……ご冗談を」

 フォークを手にしてケーキを食べていると、「本当だよ」と言いながら彼は頬杖をついた。

「本気で好きになった子しか誘わないし、下の名前で呼んだりしない。……まぁ、名前に関しては〝ちゃん〟を早く外したいんだけど」

「絶対にやめてください」

 すぐに突っ込むと、なぜか彼はうれしそうにする。

「こうやって話しているとさ、恋人みたいじゃない?」

「私はまったく思いません」

 副社長は無視して、パクパクとケーキを口に運んでいく。

 今まで、何人の女性を口説いてきたんだろう。悪いけど私は、コロッと落ちたりしないから。……なにより恋愛なんてもうしたくない。仕事があれば十分だ。
 
ケーキを食べ終えて珈琲を飲んでいると、完食した圭太君が話しに入ってきた。

「あのね、瑠璃ちゃん。お兄ちゃんは本当に瑠璃ちゃんのことが好きなんだよ」

「えっ?」

 唐突なことを言う圭太君に、さすがの副社長も「なに言ってるんだ、圭太」とタジタジの様子。
 それでも圭太君の口は止まらない。
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