俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 大人になっても、周囲がやっていることは昔と変わらないんだろうな。きっと放っておいたら、もっと面白おかしく言われてしまいそう。

 だけどまぁ……まだ、私が色目を使っているなんて噂が流れているほうがいいのかもしれない。
 あの副社長に告白された、なんて噂が流れたら、どれだけひどいことを言われるか。……いや、まだ陰口を言われるだけならいい。

 独身であの容姿。社員にも気さくで優しい。ゆくゆくはうちのグループ会社のトップに立つ人だ。モテないわけがない。
 ファン数は源君の比じゃないと細川さんが言っていた。だからまだ私が迫っていると思われているほうがマシだ。

 お茶菓子のチェックと珈琲を淹れ終え、自席に戻る。そして溜まっていたメールを確認していく。

 私で返信できるものは対処し、副社長の判断を仰がなくてはいけないものは、彼のパソコンに転送していく。

 それを終えてから手帳を開くと、一週間前に圭太君からもらった手紙が挟まっていた。見ただけでうれしくなる。

 副社長と圭太君に告白されてから、何度か三人で食事に行っている。そこで圭太君はどれだけ私のことを好きなのか、一生懸命伝えてくる。手紙もそう。
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