俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 きっと年上に憧れる年頃なんだよね。うちの弟も本気で幼稚園の先生と結婚するって小学生になっても言っていたし。それでもあんなにかわいくていい子に好かれるのは、やっぱりうれしい。

 もらった手紙はお守り代わりにしっかり手帳にしまう。そして時計に目を向けると、そろそろ副社長が出社してくる時間になろうとしていた。

 昨夜、持ち帰った仕事を遅くまでやっていたようで、今日はゆっくり出社すると言っていた。
 来客以外は大きな予定はないし、今日は早めに帰宅してもらおう。

 副社長に告白された日、顔には出ていなかっただろうけど、人生で一番動揺した。次の日、どんな顔をして出社すればいいのかと悩み、その日はほとんど眠れなかったほどに。

 だけどいざ出社すると、彼は通常運転。まるであの告白がなかったように接してくる。それは今も変わらない。

 でも、ふとした瞬間に私を見る副社長の目が甘くて、やっぱり夢じゃなかったんだって思い知らされた。
 それなのにこれまで通りに振る舞ってくれるのは、彼の優しさだと思っている。私が仕事しやすいように気遣ってくれているんだよね?

 何気ない言葉や行動に現れていて、それに気づくたびに非常にむず痒い気持ちになっていた。
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